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性格の不一致
大半は性格の不一致
離婚理由の一位が「性格の不一致」です。
全離婚原因のうち男性の60%以上、女性の40%以上の離婚理由が性格の不一致です。
様々な意味を含む理由であり、便利な理由です。
結婚は、もともと違う生活環境で育った男女が結婚するわけですから、お互いのことが違っているのは理解しているはずです。
逆にその違う価値観などを、「自分にない魅力」として、お互いをカバーしあって夫婦関係を築かれていると思います。
結婚当初はお互いの違っているところが魅力的に見えていても、歳月とともに痘痕に見えてしまうこともあるでしょう。
いずれにしても違う生活環境で育ち、多少なりとも価値観などの違う男女が、互いの違う魅力などを認め合い、或いは克服しながら結婚生活を送ってきたものの、最後は耐えきれずに「性格の不一致」が原因で、離婚を決意するようです。
夫婦の不一致度診断
次のチェックであなた達夫婦が抱えている“不一致”がどのパターンなのかを探ってみて下さい。
(1) これだけは譲れないというポリシーがある
(2) 仕事と家庭では、仕事の方が大事だ
(3) 家庭の中で何よりも優先すべきなのは子供だ
(4) 経済的に余裕のない生活には耐えられない
(5) 夫よりも私の方が正しいと思う
(6) よその家庭のことが気になる
(7) 男は男らしく、女は女らしくあるべきだ
(8) 子供のためにはお金を惜しまない
(9) 相手がお金のかかる趣味を持っている
(10) 自分のセンスに合わないものは嫌いだ
(11) 人からうらやましがられたい
(12) 私だけが子供の世話をしている
(13) 子供のことで相手と相談し合えない
(14) 子供に対する相手の態度に不満がある
(15) 相手をだらしないと思う
(16) 相手のくせが気にさわる
(17) 相手の冗談で笑えない
(18) 相手の親が嫌いだ
(19) 相手よりも親の方を頼りにしている
(20) 私は親に甘えたことがない
(21) 寝室を別にしている
(22) 自然に手をつないだり腕を組んだりできない
(23) 半年以上夫婦でセックスしていない
(24) 相手とのセックスは楽しめない
傾向と対策
(1)〜(7) 基本的価値観や人生観
これだけは譲れないというポリシー」が夫婦で共通していれば、もしくは認め合えれば問題はありません。しかし、それを相手から否定されては、はっきり言って結婚生活を続けるのは難しいといえるでしょう。
以下そのポリシーの内容をまとめてみました。それぞれの人生の中で最も重要なのは仕事(=自己実現)か、家庭(=やすらぎ)か、子供か、金銭か、ということです。もちろんそれぞれ大切なことです。
だからどれかを選ぶのではなく「優先順位をつける」という発想が必要だと思います。そのバランスが崩れたとき、夫婦の仲に、そして家庭に亀裂が生じることは確かなことです。
そして、そのバランスが崩れそうになったとき、お互いに確認し合いましょう。
「私たちの家庭では○○が大事だったんじゃないの?」というように。
人間は忘れっぽい生き物ですから、妻のその一言で、目が覚める夫もいるはずです。ここで気を付けなければならないのは、「私の方が正しい」と自信を持ちすぎたり、よその家庭と比べたり、性的役割にとらわれた考え方をしてしまうこと。あくまで自分たちの家庭の中での基準で考えることが大切です。
けんか腰ではなく、落ち着いて話をすることも忘れずに。ここでけんかになってしまうと、なかなか修正がきかず“リストラ離婚”にまっしぐら、です。
そして、どうしても夫と大切なものを分かち合えないとしたら、そのときにはじめて別れを考え始めてもいいのではないでしょうか。
(8)〜(11) 金銭感覚
家計のバランスも夫婦のあり方に大きく関わってくると言っていいでしょう。
一昔前までは妻が一切を取り仕切り、夫は自分の給与さえよく知らないということが多かったのですが、今の30、40代の夫は、妻が何にお金を使ったのかに意外と目を光らせているものです。
おそらく熟年夫婦の夫も家計にまったく興味がないということはなかったのでしょうが、基本的に口を挟まなかったので、その点ではうまくいっていたのですね。
逆に、離婚するときに妻に全財産を持って行かれ、夫が慌てているケースも少なくないのです。
だから、夫が家計に関心を持つこと自体はいいことです。限られたお金をどのように使うか、そこもやはり夫婦の価値観が問われるところだと思います。
私が男性からよく聞く不満に「子供にはお金をかけるのに、自分の小遣いは少ない」というのがあります。
今の子供は本当にお金がかかります。妻の立場からすれば「育ち盛りだから服や靴はすぐに小さくなっちゃうし、塾に行かせなきゃ勉強が心配だし、習い事のひとつもさせてやりたいし」ということでいくらお金があっても足りないというのが本音でしょう。
同時に妻の側からは「夫が趣味に使うお金がバカにならない」という声が聞かれます。お金のかかる趣味の主なものは、車・パソコン・釣りでしょうか。
それなら、と夫は言うかも知れません「自分の洋服や家の中のあちこちにある小物なんかはどうなんだ」と。確かに雑貨やインテリアなどは、普段家にいない男性から見れば無駄に思えるかも知れません。ウエッジウッドも、バラ売りのお皿も同じでしょう。
しかし、女性からすると、こうした生活へのこだわりは大切なものです。服や化粧品も同じこと。「たかが飾り」ではなく、「これが我が家の“文化”なんだ」と思ってもらいたいものですね。
同じように男性の趣味に関するこだわりも“文化”のひとつです。確かに夫が釣ってくるよりもスーパーで買った魚の方がはるかに安いのは確かです。
しかし、夫は漁師として釣りに行くのではなく、仕事や家庭から離れ、ただ一人の自分に戻る時間として趣味を楽しんでいるのです。
それはあなたにとっての趣味と同じように生活にメリハリをつけ、人生を楽しんでいくための知恵なのです。
とはいえ、趣味にはいくらお金をかけてもお互い目をつむるべきだと言っているのではありません。
高価なものを次々に欲しがるようになったら、どちらかがストップをかけるのも愛情です。特に見栄を張るためのブランド指向の傾向が見えたら、要注意。あくまで、今の生活があっての趣味であることをお忘れなく。
(15)〜(17) 相手の育ってきた環境や習慣への違和感
これが意外なほど夫婦の関係に大きな影響を及ぼしています。本当にバカバカしい、笑い話のようなことが、離婚の大きな原因になったという例を紹介しましょう。
知り合いに、いつもお互いを「だらしがない」とののしり合っている夫婦がいました。しかし、その歯に衣着せぬやりとりは漫才のようにも聞こえ、私からは“ケンカするほど仲がいい”の見本のような、気の合う夫婦に見えていました。
私は二人のケンカを見るたびに
「“だらしない”と思った方が片づければいいじゃない」と言っていましたが、夫も妻も「そうすると、いつも自分がやることになる!」と口をそろえて言うのです。
そして最近、とうとう離婚してしまいました。
どうして話し合ったり、家事の分担をするなどして工夫しなかったのか、と離婚後、妻の方に聞いてみたら、それだけが問題じゃない、実は彼のことが嫌でしょうがなかった、と言います。
例えば、彼は妻の前で、おならやゲップを平気でし、そのくせ彼女に食事のマナーが悪いと言うのだそうです。彼女は魚の食べ方が下手で、皮や内臓を残したり、口から骨を出したりするそうですが、漁師の家に育った夫からすると、許せないことだったようです。
また、同じバラエティー番組を見ていても、笑うところが全然違うと言います。
どうも気になって、夫の笑う箇所をチェックしてみると、それは誰かがいじめられていたり、バカにされているシーンだったりすることに気がついたそうです。それからは、夫がどんどん嫌いになり、離婚に至ったというわけです。
「そんなことで離婚するなんてダメ」と思っていた私も、何も言えませんでした。
習慣や癖、センスといった小さなことが、結局それぞれの価値観を作り上げているのかもしれません。結婚相手のそうしたバックグラウンドを、どこまで受け入れられるか、そこが結婚生活の醍醐味でもあるのですが・・・・。
(18)〜(20) 夫婦の関係に親が影を落としているケース感
いわゆる嫁姑問題はもちろんのこと、最近では、夫と妻の両親がうまくいかないことも主な離婚理由としてクローズアップされてきました。子供の数が2、3人という現在の親子関係は大人になっても、金銭、精神の両面において依存関係が続きがちです。
相手よりも先に親に相談したために、かえって問題がこじれて、充分に修復可能な夫婦関係が、短期間のうちに離婚へと結びついたケースを私もいくつか見てきました。
また、親の暴力や、過保護、過干渉によって、子供時代に適切な愛情を受けられなかった場合、大人になっても人とのコミュニケーションが下手で、配偶者との関係がうまくいかなくなるケースもあります。
数年前より「アダルト・チルドレン」という言葉がよく聞かれるようになりました。これは、成育過程において、自分が受け入れられているという感覚のないまま大人になってしまった人たちを指すのだそうです。
その人たちは他者に対しても愛情を感じたり、表現したりするのが苦手で、結婚しても離婚してしまうケースが多いのだとか。
私はそうした問題の専門家ではないので、発言を控えますが、「アダルト・チルドレン」をテーマとした本も多く出ているので、興味のある人は手に取ってみることをお勧めします。
(21)〜(24) セックス
最近は共働きで、夫婦の生活時間がずれるために、寝室を別にしているケースも少なくありません。それでもうまくいっているというカップルの話を聞いてみると、お互いに忙しいからこそ、いたわり合い、時間がとれるときは二人で楽しむ、ということが秘訣になっているようです。
例えば、手紙。今は電子メールという便利なツールもあるので、ちょっと時間が空いたときにでも、おしゃべり感覚で簡単に書くことができます。
また、年に2回は必ず旅行に行く。そのときは日頃の仕事や家事のことはすべて忘れ、二人でストレスを発散するそうです。
セックスも普通の夫婦のようには行かないけれど、その分ムードを大切にし、相手をいたわってするとも言っていました。
それだけでなく、この二人は一緒に出勤するときは、駅まで手をつないで歩いたりして、スキンシップを欠かさないそうです。要はコミュニケーションですね。
しかし、もちろんこのようなケースばかりではありません。私のところに相談に来る妻の多くはセックスレスの問題を抱えていますが、気になるのがそのことを本人がまったくというほど意識していないのです。夫の浮気に悩んでいる妻が「私はあまりそういうことに興味がなくて、最後にいつしたかも覚えてません」なんて、しれっとして言うのだから、呆れてしまいます。
はっきり言って、淡泊なのがお上品だなんて思ったら大間違い。男性は女性と生理が違うのですから、健康な人ならそのうちに自分でセックスパートナーを見つけてしまいますよ。しかし逆に、妻が夫との性生活に満足できずに、他の男性に走ってしまうことも多いようです。林真理子さんの「不機嫌な果実」という小説では、そうした妻の心理がうまく描かれており、ベストセラーとなったのは、共感する女性が多かったからではないでしょうか。
女性というのはチヤホヤされるとその気になってしまうもの。それは独身であろうが人妻であろうがあまり変わりません。今のように職場やお酒を飲みに行ったりする場所で、女性が男性と接する機会が多かったり、また、家にいてもインターネットやEメールで恋の相手と出会うチャンスはあふれています。だからこそ夫婦はお互いへのセクシャリティーにいつまでも関心を持ち続けたいですね。
裁判での離婚原因
夫婦のどちらか一方が、離婚することに強い抵抗を示した場合、協議や調停では離婚することはできません。
協議や調停が成立しない場合には、最後の手段として裁判をしますが、裁判を行うには、民法で定めた(770条)以下の理由が必要になってきます。
1.浮気・不倫(肉体関係をもった浮気)
2.悪意の遺棄(生活費を渡さないなど家庭を顧みない行為等)
3.3年以上生死不明(生きているのか死んでいるのか分からない状態)
4.回復困難な精神病であり、かつ回復の見込みがない
5.婚姻を継続しがたい重大な事由がある(暴力・DV・セックスレスなど)
訴訟を行う場合、性格の不一致は、5の婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとされます。 単に「相手と性格が合わない」という理由だけで、主張するのは極めて難しいのです。 裁判になり、相手方が離婚に強く反対している場合には、婚姻関係が破綻し、もはや修復することは 困難であることを強く主張するだけでなく、性格の不一致以外の理由が必要になってきます。